JESAコラム 第87回
非常用発電機の試験装置
東京電機大学
枡川重男
日本内燃力発電設備協会によれば,2016年,国内に設置されている非常用発電機の累計設置台数は約20万台,累計設置容量は22000万kWである。
消防法によれば,これらの非常用発電機は模擬負荷装置を用いて,
定格負荷速度および定格負荷の30%で必要な時間連続運転を行い,確認することが求められている。
消防法に従って,非常用発電機の動作を確認するために30分間運転すると,発電した電気は模擬負荷装置から熱となって大気中に放出される。
もし,電気を熱に変えるのではなく,発電した電気をそのまま非常用発電機が設置されている設備の電力として回収できれば,
非常用発電機全体で,およそ2000トンのCO2を削減する効果がある。
図は発電した電気を回収する非常用発電機試験装置の回路構成である。非常用発電機で発電した電気は,三相整流回路で直流に変換した後,
高周波DC-DCコンバータで三相インバータの直流入力電圧に変換する。そして,三相インバータから非常用発電機が設置されている施設に電気を供給する。
もちろん,この試験装置はまだ実用化されていない。現在は研究試作段階である。
しかし,近い将来,このような環境に配慮した試験装置の普及が求められる時代もやってくるのではないだろうか。
発電電力を回収する試験装置の回路構成
参考文献
(1) 伊井泰輝,「非常用発電機の負荷試験システムの開発」,第36回電気設備学会全国大会,2018年,9月,No.I-8
2019/03/19