JESAコラム 第44回
IOT時代その3
元東海大学 片岡信弘
IOTの時代その2に引き続き、ビッグデータを活用した身近な事例を紹介いたします。 町の中や駅などで多数見かける飲料の自動販売機は、商品の補充時に何がいくつ売れたかの把握をしていました。毎日、商品の補充をすれば、毎日の商品毎の販売個数は把握できますが、そうでない場合は、どの曜日にどの商品が良く売れるかが不明でした。
これをネットでつなぎ、Suicaなど電子マネーで購入した顧客の情報を収集することにより、どの時間帯にどのような顧客がどのような商品を購入したかを分析することが可能になります。これにより、自動販売機に補充する商品を変えていくことが可能になります。また、商品の補充は、予めどのようなものが不足しているかが分かった上で行うことが可能となります。
例えば、JR東日本ウォータービジネスは、JR東日本の各駅構内(エキナカ)の自動販売機のデータを収集、分析しています。現在、4500台のSuica決済端末を導入し、自販機から商品別の時間帯売り上げや購入場所などのデータを収集しています。 また、Suica一枚毎のカード番号で、購入商品の購買履歴や、「Suicaポイントクラブ」の顧客の場合は、会員番号と紐付けされた、性別、年代、郵便番号などの属性が収集されています。
これらの膨大なデータの分析により、様々なことが把握できるようになってきました。
500ml容量のペットボトル商品が朝に売上ピークを迎えるのに対し、280mlの少量のペットボトル商品は午後に売上が落ちないことがデータから発見されました。特に40代以上の女性が多く購入していたため、小容量ペットボトル商品を「持ち歩き飲料」として積極採用し、売上の底上げを実現したそうです。また、自販機全体では朝が売上ピークになりますが、夕方から夜にかけて30~40代男性が甘味の高いカテゴリを多く購入していることが分かり、甘味性の高い「おやつ飲料」を展開することで売上拡大につなげたとのことです。これ以外にも、レジャー需要が高い舞浜駅の場合、時間帯売上データから22時に売上ピークがあることが判明したため、商品補充タイミングの最適化をはかり、売り切れにロス削減に取り組んだとのことです。
これはデータ分析結果活用の一例ですが、今後さらに新商品開発等に活用 していくとのことです。
参考
http://news.mynavi.jp/articles/2015/12/28/jrwater/
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1205/07/news013