JESAコラム 第38回
道路の凹凸で発電する新システム、燃費と乗り心地を改善
独Audi(以下、アウディ)は、開発を進めている新型のショックアブソーバーシステム「eROTシステム」の概要を公開しました。 サスペンションを通じたエネルギー回生を可能にするシステムで、車両の燃費と乗り心地を改善させられる新技術のようです。
eROTシステムは、従来の油圧式ダンパーの代わりに電気式ダンパーを採用しているのが大きな特徴です。 自動車は走行中に路面の凹凸などの影響を受け上下します。その際サスペンションが伸縮して一定の衝撃を吸収していますが、 eROTシステムではこの慣性エネルギーを電力に変換することができます。
レバーアームがホイールキャリアから伝わる上下の動きを吸収し、レバーアームから複数のギアを介してその力をモーターに伝えて発電する仕組みです。
従来の油圧式ダンパーの場合、こうした路面の凹凸などから生まれる慣性エネルギーは熱として失われていました。
アウディではドイツでeROTシステムを搭載した実験車で公道テストを行いました。 その結果、舗装状態の良い高速道路で3W(ワット)、路面の荒れた一般道では613W、平均100~150Wを回生できたとします。 この電力を活用することで、一般のドライバーが1キロメートル走行する際のCO2排出量を、最大3グラム削減できる見込みのようです。
eROTシステムは、今後欧州車を中心に広がる見込みの48V(ボルト)の車載電源電圧システムでの利用を前提としています。現在実証走行を行っている車両では、エネルギー容量0.5kWh(キロワット時)、最高出力13kWのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、eROTシステムを含む48Vのサブ電源システムは、DCコンバーターで12Vの主電源に接続しています。
また、eROTシステムのもう1つの特徴がサスペンションのアクティブ制御です。振動を減衰するダンパー機構をソフトウエアで自由に制御できるため、乗り心地の向上にも寄与するとしています。
引用: http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1608/19/news035.html