JESAコラム 第28回
北海道の再生可能エネルギー利用(4)
みなさん、こんにちは。今回も、北海道における再生可能エネルギーについての紹介になります。
製鉄の町として知られる室蘭市でも、水素と再生可能エネルギーを活用して「グリーンエネルギータウン」を展開する構想があります。
市内には風力発電所が2カ所とメガソーラーが1カ所で稼働しています。それに加えて室蘭市が運営する「蘭東下水処理場」で、
2016年4月中にバイオガス発電設備が運転を開始する予定。
グリーンエネルギータウン構想では再生可能エネルギーの電力を拡大するのと同時に、余剰電力を使って水素を製造します。
さらに製鉄所でも鉄を作る工程で水素ガスが副生物として発生することから、両方の水素をエネルギー源として利用できるように地域内に水素の供給インフラを整備する計画。
室蘭市では2020年までに再生可能エネルギーと水素エネルギーの導入量を2012年度の2倍に拡大することが当面の目標になります。そのうえで電力・ガス・水素・熱のネットワークを市内に拡大して、住宅や工場、自動車やバスにもCO2フリーのグリーンなエネルギーを供給していきます。
北海道の再生可能エネルギーは太陽光からバイオマスまでと、豊富です。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模を見ても、5種類すべてが全国のトップ10に入ります。特に太陽光発電は広大で平坦な土地が多い利点を生かして、沿岸部を中心に巨大なメガソーラーの建設計画が拡大中。
すでに運転を開始したメガソーラーでは「ソフトバンク苫東安平(とまとうあびら)ソーラーパーク」が圧倒的な大きさを見せます。国内でも有数の日射量になる北海道の太平洋沿岸に広がる166万平方メートルの土地を利用しました。
2015年12月に運転を開始して、発電能力は111MWに達します。現在のところ青森県の「ユーラス六ヶ所ソーラーパーク」(発電能力115MW)に次いで、日本で2番目に大きいメガソーラーです。
年間の発電量は1億800万kWhを見込んでいます。一般家庭の使用量に換算して3万世帯分に相当します。このメガソーラーが立地する安平町の総世帯数(4200世帯)をはるかに超えて、隣接する苫小牧市の総世帯数(8万7000世帯)の3分の1をカバーできる電力量になります。
苫小牧市内で2016年1月に運転を開始した「シャープ苫東の森太陽光発電所」の規模も大きく、140万平方メートルの土地を利用していて、発電能力は46MWあります。年間の発電量は5100万kWhになる想定で、1万4000世帯分の電力を供給できます。
北海道には地熱の資源量が豊富な場所も数多く分布しています。これまでにNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が道内の14地域で地熱開発の調査を実施しました。そのうちの半数以上は南西部に集中していて、札幌市から30キロメートルほどの距離にある阿女鱒岳(あめますだけ)の周辺地域も含まれています。
この一帯で出光興産など3社が2011年から地熱発電の事業化に向けた調査を進めて、2015年10月には仮噴気試験を開始しました。仮噴気試験は発電所の建設に先がけて実施する掘削調査の後半にあたります。地下2000メートルから噴出する蒸気の量や温度を測定して地熱の資源量を評価するプロセスです。
2017年3月まで仮噴気試験を続けた後に、環境調査などを実施して発電事業の可否を決定します。実際に発電所を建設して運転を開始できる時期は2020年代になる見込み。開発期間は長くかかりますが、いったん稼働すれば長期にわたって安定した電力を供給できます。
地熱で発電した電力もCO2フリーの水素を製造するエネルギー源になります。2020年代には、北海道の再生可能エネルギーで作った水素が、全国各地で広く使われている可能性は大きく、国が推進する地球温暖化対策の面でも、「北海道産の水素」が重要な役割を果たすことになります。
以上で、北海道の再生可能エネルギー利用についての記事は終わりになります。 最大面積を誇る都道府県だけあり、様々な利用を行えるようですね。
今後も再生可能エネルギーの発展と供に、未だ発展途上の水素エネルギーの更なる発展にも期待していきましょう。
引用:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/05/news023.html