about

JESAコラム 第4回


自家発電設備の技術基準について

皆さん、こんにちは。

前回の記事では、消防法、建築基準法、電気事業法における、自家発電設備の点検について紹介しました。 今回は消防法における、自家発電設備の技術基準について紹介していきたいと思います。

消防用設備の非常用電源として設置される自家発電設備の構造・性能に関する技術基準として、 消防法令及び消防法施行規則、告示で定められています。

消防法施行規則(省令)による技術基準

消防法施行規則第12条では、屋内消火栓設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目が定められています。 この基準の細目で、屋内消火栓設備の非常電源について、その種類、設置条件等が定められており、他の消防用設備に設置される非常電源についても、 この第12条の規定の例により設けることとされています。非常電源の一つである自家発電設備の構造・性能については、第12条で次の通り定めています。

  1. 容量は、屋内消火栓設備を有効に30分以上作動できるものであること。
  2. 常用電源が停電した時は、自動的に常用電源から非常用電源に切り替えられるものであること。
  3. キュービクル式以外の自家発電設備は、次の ⅰ~ⅲ までの定めるところによること。
    1. 自家発電装置の周囲には、0.6m以上の幅の空地を有するものであること。
    2. 燃料タンクと原動機の間隔は、予熱方式の原動機で2m以上、その他の方式の原動機では0.6m以上とすること。 ただし、燃料タンクと原動機との間に不燃材料で造った防火上有効な遮蔽物を設けた場合は除く。
    3. 運転制御装置、保護装置、励磁装置等を収納する操作盤(自家発電装置に組み込まれたものを除く)は、 鋼鉄製の箱に収納するとともに、箱の前面に1m以上の幅の空地を有するものであること。
  4. 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

告示による技術基準

非常電源として設置される自家発電設備の構造・性能として、消防法施行規則第12条では、 同条で規定する以外の事項については、「消防庁長官が定める基準に適合するものであること。」とされています。 この規定に基づき「自家発電設備の基準(消防庁告示第1号)」が制定され、必要に応じ内容が見直され、 改正されてきました。ここでは告示基準の概要について紹介します。

  1. 始動性能
    1. 常用電源が停電した場合、自動的に電圧確立、投入及び送電が行われるものであること。
    2. 常用電源が停電してから電圧確立及び投入までの所要時間は40秒以内であること。
      ただし、常用電源の停電後40秒経過してから自家発電設備の電圧確立及び投入までの間、蓄電池設備により電力が供給されるものは除く
  2. 運転時間
    定格負荷における連続運転可能時間以上出力できるものであること。
    注1:設置される消防用設備に対して、火災時に法令で当該消防用設備に必要な運転時間以上、電力を供給できるものであること
  3. 始動装置
    1. 蓄電池始動式
      「蓄電池設備の基準(告示第2号)」に準じるほか、高率放電用蓄電池 (各始動間に5秒間隔で10秒の始動を3回以上行うことができるもの)を用いるものとする。
    2. 空気始動式
      空気タンクの圧力が連続して3回以上始動できる圧力以下に低下した場合、 自動的に作動する警報装置及び圧力調整装置が設けられていること。
  4. 燃料タンク
    1. 液体燃料を用いる原動機の燃料タンクは、その容量に応じ、次表に掲げる厚さの鋼板で気密に造られ、 さび止めのための措置が講じられていること
      タンクの容量 厚さ(mm)
      20を超え、40以下 1.0以上
      40を超え、100以下 1.2以上
      100を超え、250以下 1.6以上
      250を超えるもの 2.0以上
    2. 燃料タンクには、定格負荷における連続運転可能時間に消費される燃料と同量以上の燃料が保有されていること。
      注2:注1の運転時間に消費される燃料と同量以上の燃料を保有すること。
  5. キュービクル式自家発電設備
    1. 種類
      1. 自家発電装置(発電機と原動機を連結したもの。)及び附属装置を外箱に収納したもの。
      2. 自家発電設備の運転に必要な制御装置、保安装置及び附属装置を外箱に収納したもの。
      3. ⅰ及びⅱに掲げる機器を外箱に収納したもの。
    2. 外箱の構造
      1. 外箱の材料は鋼板とし、その板厚は、屋外用のものは2.3mm以上、屋内用のものは1.6mm以上であること。
      2. 外箱の開口部には、防火戸が設けられていること。
      3. 外箱は建築物の床に容易かつ堅固に固定でき、消音器及び屋外に通じる排気筒を容易に取り付けられるものであること。
      4. 外箱からの電線引出し口は、金属管又は金属製可とう電線管を容易に接続できるものであること。
      5. 外箱には、次に掲げるもの以外のものが外部に露出して設けられていないこと。
        • 表示灯
        • 冷却水、温水及び潤滑油の出し入れ口
        • 水及び油を抜く管
        • 電線の引き出し口
        • 燃料配管
        • 換気装置
        • 排気筒
    3. 内部の構造
      1. 原動機、発電機、制御装置等の機器は、外箱の底面から10㎝以上の位置に収納されているか、 又はこれと同等以上の防水措置が講じられたものであること。
      2. 機器及び配線類は、原動機からの熱を受けないよう断熱処理され、かつ、堅固に固定されていること。
      3. 原動機及び発電機は、防振ゴム等振動吸収装置の上に設けたものであること。ただし、原動機にガスタービンを用いるものは除く。
      4. 燃料タンクが外箱に収納されているものは、給油口が給油の際の漏油により 電気系統又は原動機の機能に異常を及ぼさない位置に設けられていること。
      5. 騒音に対して、遮音措置を講じたものであること。
    4. 換気装置
      1. 外箱の内部が著しく高温にならないよう空気の流通が十分に行えるものであること。
      2. 自然換気口の開口部の面積の合計は、外箱の一面の面積に対して1/3以下であること。
      3. 自然換気口によって十分換気が行えないものは、機械換気設備が設けられていること。
      4. 換気口には、金網、金属製がらり、防火ダンパーを設ける等の防火措置及び雨水等の浸入防止措置が講じられていること。
  6. 表示
    自家発電設備には、次の事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示すること。
    • 製造者名又は商標
    • 製造年
    • 定格出力
    • 形式番号
    • 燃料消費量
    • 定格負荷における連続運転可能時間

以上が、消防法施行規則及び告示によって示される、「自家発電設備の構造・性能に関する技術基準」です。

みなさんがお持ちの自家発電設備についても、構造、性能、また設置箇所などについて、改めて確認してみてはいかがでしょう。

e‐ダミーテストは発電機に限らず、あらゆるエネルギー設備が“あんしん”をお届けするためには、 必要不可欠な保守・点検を推進していく願いも含んでいます。

これからもJESAは皆さまに情報を提供していきます。


2015/11/09