JESAコラム 第73回
ごみのリサイクル
東京電機大学 枡川重男
ごみのリサイクル
循環型社会の構築は資源の少ない日本にとって大きな課題であり,温暖化対策としても求められています。 そのためには,産業廃棄物を適切に処理するだけでなく,リデュース,リユース,リサイクルの3Rが重要と考えられます。 国立環境研究所の国環研ニュース35巻を参照すると,環境省は一般廃棄物(ごみ)の排出量,リサイクル率(排出量に対するリサイクルの割合), 最終処分量に関して国全体の目標値を次のように定めています。①平成32年度における排出量は平成24年度比で約12%減。 ②リサイクル率は約27%。③最終処分量は平成24年度比で約14%削減。
図1を見ると,ごみの排出量は順調に減少しています。市民の普段からの協力や事業者の努力に加えて,人口減少や経済の停滞も影響を与えていると思います。 平成32年度までの最終処分量の目標値は,達成可能ではないでしょうか。一方,リサイクル率は横ばいの傾向となっています。 従って,平成32年度の目標である27%を達成すためには,様々な努力が求められます。
図1
ごみの排出量及び最終処分量(左軸),リサイクル率(右軸)の推移と平成32年度の目標値
国立環境研究所の国環研ニュース35巻より
ところで,リサイクル率の定義をご存知ですか。リサイクル率は次のようになります。
リサイクル率(%) | = | 直接資源化量+中間処理リサイクル量+集団回収量 | × | 100 | |
ごみの排出量 |
この式は廃棄物を別の用途の原材料とするなど,ものとして手に取ることができるものを対象としています。 焼却場で回収された熱(サーマルリサイクルと呼び,暖房や発電に利用されています)もリサイクルと考えられますが, 回収した熱エネルギーは式に反映されていません。前回取り上げた,メタン発電も同様です。 ごみをエネルギーとして回収するのですから,リサイクル率に組み込んではいかがでしょうか。 これが可能ならリサイクル率は上がり,日本は世界で最もごみを有効に利用している国と呼ばれるかもしれません。 その時,少し誇らしく,頬が緩むのではないでしょうか。