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JESAコラム 第10回


電気工事士法について

みなさん、こんにちは。
JESAコラムも、第10回になりました。

今までに、主に設備に関する法令などをご紹介してきました。 今回は、人に関する法令のうち、電気工事士法についてご紹介いたします。

自家発電設備のうち特定のものの設置工事については、電気工事士法により工事の作業者に法令で定める資格の取得が義務づけられています。 この電気工事士法による規制内容(資格者と従事できる工事)について紹介します。

電気工事士法は、「電気工事の作業に従事する者の資格及び義務」を定めていますが、具体的に規制の対象となる電気工作物の電気工事は、以下の通りです。

1.一般用電気工作物の電気工事

電気事業法で規定する一般用電気工作物で、一般的には住宅、小規模な商店等に設置される電圧600V以下(低圧)の電気設備の電気工事をいう。

2.自家用電気工作物の電気工事

電気事業法で規定する自家用電気工作物のうち、発電所、変電所及び最大電力500kW以上の需要設備等を除いた、最大電力500kW未満の需要設備(※1)を対象とした電気工事をいう。
この中には、需要設備の附帯設備として扱われる非常用予備発電装置(※2)やネオン設備の設置工事が含まれる。

※1.「最大電力500kW未満の需要設備」とは、電力会社との契約電力が500kW未満の事業場、ビル等に設置される電気設備をいう。
※2.「非常用予備発電装置」とは、電気事業法上の非常用自家発電設備の呼称である。

また、電気工事士法では、第3条において、次の通り作業に従事することが出来る資格者が定められています。

(電気工事士等)

第3条:第一種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第一種電気工事士」という。)でなければ、 自家用電気工作物に係る電気工事(第3項に規定する電気工事を除く。第4項において同じ。)の作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であって、 経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。

2:第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、 一般用電気工作物に係る電気工事の作業(一般用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であって、 経済産業省令で定めるものを除く。以下同じ。)に従事してはならない。

3:自家用電気工作物に係る電気工事のうち経済産業省令で定める特殊なもの(以下「特殊電気工事」という。)については、 当該特殊電気工事に係る特種電気工事資格者認定証の交付を受けている者(以下「特種電気工事資格者」という。)でなければ、 その作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であって、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。

4:自家用電気工作物に係る電気工事のうち経済産業省令で定める簡易なもの(以下「簡易電気工事」という。)については、 第1項の規定にかかわらず、認定電気工事従事者認定証の交付を受けている者(以下「認定電気工事従事者」という。)は、その作業に従事することができる。

この関係を纏めると、以下の表のようになります。

表.資格種類と従事できる電気工事
資格の種類 従事できる作業内容
第一種電気工事士 一般用電気工作物及び自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備に限る。)の電気工事。
ただし、この需要設備の電気工事のうち特殊電気工事は除く。
第二種電気工事士 一般用電気工作物の電気工事
特種電気工事資格者
(非常用予備発電装置)
自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備に限る。)の電気工事のうち、
特殊電気工事とされる非常用予備発電装置の電気工事。
特種電気工事資格者
(ネオン工事)
自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備に限る。)の電気工事のうち、特殊電気工事とされるネオン設備の電気工事。
認定電気工事従事者 自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備に限る。)の電気工事のうち、
簡易電気工事とされる電圧600V以下で使用する電気工作物の電気工事。

即ち、契約電力が500kW未満の事業場、ビル等に設置される非常用自家発電設備の設置工事は、電気工事士法により特殊電気工事と見なされるため、 設置工事の作業者には特種電気工事資格者(非常用予備発電装置)の資格が必要になります。

さらにこれを図にすると、次のようになります。

pict

さて、電気工事士法において、「特殊電気工事」とされるものについては、どのように定められているのでしょうか。
これは、電気工事士法施行規則第2条の2により、次の通りとされています。

(特殊電気工事)

第2条の2:法第3条第3項の自家用電気工作物の係る電気工事のうち経済産業省令で定める特殊なものは、次のとおりとする。
一:省略
二:非常用予備発電装置として設置される原動機、発電機、配電盤(他の需要設備との間の電線との接続部分を除く。)及びこれらの附属設備に係る電気工事(以下「非常用予備発電装置工事」という。)

今回はここまでとなります。
次回は記事に出てきた「特殊電気工事資格者」の資格取得について、簡単にご紹介いたします。


2015/12/21